福岡県久留米市の周辺で織られている絣が、久留米絣（くるめがすり）です。日本の小説家、太宰治が好んで着ていたことでも有名です。伊予絣、備後絣と並んで日本三大絣の一つといわれる久留米絣は、藍染めが主流の錦織物で、藍と白に染め分けた糸（絣糸）を用いて織られます。

東南アジアから琉球を経て伝わった絣と違って、江戸時代の後半に、井上伝という年少者が独自に創造されたものとされ、久留米藩が産業として奨励し、広く広がりました。一時には年間300万反ほどを生産するほど活況でしたが、戦後は絣の需要が減り、現在は生産が縮小されましたが、最近は久留米絣を用いたブラウス、ワンピース、ジャケット、ベスト、バッグ、スニーカーやカバンといった新商品開発が盛んにおこなわれています。

およそ200年もの間.織られてきた久留米絣は、 プリントではなかなか表現できない、.幻想的なな藍と. 今の時代に絶妙に符合している色彩、糸の自然な“ずれ”や“にじみ”. が作り出す素朴な模様柄は、広く親しまれる理由です。